季節野菜のクレオールとは...
宇都宮市平出町の鬼怒川に近い水田地帯で野菜づくりをしている有機農家です。農薬・化学肥料は使わず、無肥料で栽培又はこぼれ種を利用した自生栽培が主であり、制限的に有機肥料を使用しています。土地の気候にあわせて野菜の自然な成長を見届け、植物がもつ環境に適合する力を利用するため自家採種及び交雑育種、変異株の選抜に取り組んでいます。宇都宮市では年間を通し自家栽培のみで野菜セットの宅配をしている数少ない農家です。
無肥料、自生、部分有機 | |
2019年4月1日 | |
「地球規模で考え、地域で行動する」 ・自家採種に取り組む ・消費者との結びつきを考える ・自然を尊重する ・環境を整え資源を大事にする ・仲間と共に学びあう |
※クレオールとはフランスが植民地にしていたカリブ海の島々に生まれた白人とその子孫のことでした(現在はアフリカ系現地人やその文化のことをいいます。)。その状況は今日本で食べられる外国原産のトマトやキャベツ、ニンジン、カボチャなどと似ています。また同じ言葉でもスペイン語やポルトガル語では「在来種」をも意味するため、遠い異国からはるばるやってきた野菜や日本で育った土着の野菜をお届けしたい、という想いで名前を付けました。なお、アルファベット表記の最後にsがつきますが、クレオール野菜が1種類でなく総称であることを意味し、またフランス語文法上複数のsは発音しないため「クレオール」となります。
※自家採種農法とは栽培した野菜からタネを採りそのタネでまた野菜を育てることです。タネには大別して固定種と交配種(いわゆるF1種:First Filial Generation 雑種第一代の略称)がありますが、固定種は親の性質を受け継ぐためタネになった子どももある程度親に似て育ち、その孫以下も同じような性質を受け継ぎますので翌年の野菜のためのタネになります。反対に交配種は偶然の強勢力を利用して両親の良いとこどりでかつ皆がクローンのように似た子どもを作りますが、残念ながらその利点はほとんどの孫には受け継がれません。そのため交配種から採ったタネではどのような野菜(孫世代)が育つかわからず不安なため普通は翌年のタネとはせず改めて買い直します。クレオールでは固定種も交配種も使って栽培しており、交配種からでも採種を続けることで性質の固定化が望めますが、基本的に自家採種用は固定種からになります。タネ採りは、比較的簡単なものから特定の注意を払わないと難しいものもあります。タネができるまで畑の場所も占有され収穫期以降も時間を要し、また絶対に採種できるということもないため、多くの場合「タネは買うもの」となっています。それでもクレオールが自家採種を大切に考えるのは、農薬処理も遺伝子操作もされていないという安心面と、外部に依存し過ぎないで永続的に農業を続けるためです。並行して採種したものを広く使っていただけるようクレオール宿場という活動も行っています。
※風土適用育種とは土壌条件や気候に適した品種を選定してその土地の風俗に溶け込むような野菜を作り続けることを目指し、自家採種で培った技術を生かしながら変わり続ける環境に沿って食料としての野菜を作り出すことです。その過程で、どこにもない新たな品種を生み出せるかもしれないという魅力と次の世代を担う新たな遺伝資源を作り出す役割もあると考えています。育種という考えは久しく野菜農家からは切り離され外部化しているように見受けられますが、立ち返って自分が農家であることを見つめなおす行為であると感じます。
夏野菜(ズッキーニ、キュウリ、ナス)のタネ乾燥中 | アブラナ科交雑防止の天幕 | サニーレタス(開花、結実、採種) |
ビーツ(開花、結実、採種) | 冬瓜(結実、開果、洗浄、乾燥中) | 各種採ったタネ |